幸せになるために
10
毎年その時期になると思う事がある。

師が走るのは12月ではなく、1月なのではなかろうかと。

さらに細かく言えば、12月に助走を始め、1月に全力疾走しているイメージ。

というのも、年末は確かに多忙だけれど、だからといって訳が分からないうちに過ぎ去って行く、という感覚に陥った事はない。

自分の進むべき道が見えているというか…。

むしろ年始の方が、寝て起きて家族や親戚や友達と新年の挨拶を交わしたと思っていたらいつの間にやら正月が明けていて、そして日常に戻り、ふとカレンダーに目を向けてみたら「え?もう1月の半ばになってたの!?」なんて時間の流れの早さに驚愕してしまう事がしばしば。

まぁ年末の場合は「これさえ終われば…」という考えの元行動し、実際にその後ご褒美的に約一週間もの休暇が控えているから「これからまた一年頑張っていかなければ…」という心構えが必要な年始の方が、精神的にてんやわんや感が増すのかもしれないけれど。

あくまでもオレの中で、だけどね。

今期もまさしくそうだった。

まず、29日にアパート内の雑用を終わらせてから30日に実家に帰り、父さんの愛車を洗うのを手伝って、その後父さんと母さんとオレの三人で年末年始に出す料理の食材の買い出しのため、地元のショッピングセンターへと向かった。

帰宅後、台所でおせち作りを始めた母さんの指示の元、食器棚の奥深くに収納されていたお重や大皿を出して来て洗ったり、味見をしたりして動き回っているうちに日が暮れたので、夕飯を食べてお風呂に入ってその日はすぐに就寝。

大晦日、出来上がったおせち料理を母さんと一緒にお重に詰め、正月を迎える準備が無事に終わった事にやれやれと安堵のため息を漏らしつつ一休みしている間に夜となり、国民的歌番組を見つつ年越しソバを食べ、そして迎えた元日。

遅めに起きて、おせちやお雑煮をつつきつつ、正月特番を見ながらダラダラ過ごしているうちに日付けが変わり、午後になってから父方の伯母さん叔父さん家族、父さんの部下の方、ご近所さんと、次々に新年の挨拶に来てくれて、母さんに言われた通りに料理や飲み物を配膳し、ホントはあんまりアルコールは得意じゃないんだけどお付き合いでちょびっとだけ飲んで、語らって食べて、と過ごしているうちに休暇最終日の3日となった。
< 199 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop