おはなのようせい【短編】


おはなのようせい。

私の住んでいる校区の幼稚園児なら少なくとも聞いたことがあると思う。

年に一度、住宅街の中にある滑り台と砂場しかない小さな公園に花が撒かれるらしい。

それは自治体が行っている活動なんかではなく、個人的な活動のようで、春に撒かれるため、チューリップが多いらしい。品種は野に咲いているようなものではない。

幼稚園児が公園で遊んでいた時に見つける場合がほとんどで、その花たちはその子達にお持ち帰りされる。

その光景に幼稚園児は喜んだが、親達は不気味がった。

そしてその未知な行動をする謎の人物【おはなのようせい】と名付けられた。



________私だ。私なのだ。

その不審な行動を取っているのは紛れもなく私だ。

幼稚園児のかわいい夢を破壊するが、おはなのようせいは決してティンカーベルのように愛らしいものでなく、布団の上でポテチを食べながらごろごろと雑誌を読んだりしてぐーたらしている私がおはなのようせいなのだ。

残念なことだ。本当に申し訳なく感じる。




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