高梨さんの日常




私にできるのはこれだけ。

この、ほんの少しだけ。



「バレンタインのお菓子を作ってきたの。味見用だけど、みんなで食べよう」


これで、変わればいい。

ちょっとずつでも変わってくれればいい。

いま、部屋に閉じこもっているリンも、匂いに誘われてきっと出てくる。


それまでは長い時間がかかるかもしれないけど。

でも、そしたら、またみんなで笑える。

河原を手を繋ぐのは恥ずかしいけど、並んで歩けるじゃないか。



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