君に恋していいですか?
11月の出来事。詩織side
大好きだと気付いたのは、ほんの些細な事がきっかけだった。


普段、むすっと怒ったような顔をしてる課長が不意に見せた笑顔。



キュンとなった。



低い声。


高い背、広い肩幅、大きな背中。


スーツ姿でいつも颯爽と歩く人。


近づけは近づくほど、ホントは見た目とは裏腹で優しくて甘えん坊な人。


甘いものが好きで、恋愛小説を読んでたりして。


強く抱きしめて貰いたい、側に居たい、そう願い始めたのは今年の4月の事だった。



髪型を変えてきた課長。



何かあったのかしら。



そう思ったわたしは課長に聞いたんだっけ。


失恋したんですか、って。



苦笑いしてた。



この時わたし、課長には奥さんがいる、っていう噂話を信じてたのよね。


つまり、不倫相手に振られたんですか?という遠回しの嫌味だったんだけれど。



課長はため息をついて笑ってた。



キュンってなる笑顔だった。


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