続・危険なキス
「紫乃ちゃんって、ほんと手際がいいよね。
うらやましいよー」
「そんなことないですよ。余計なことをしないだけで」
「私は余計なこと、いっぱいしちゃうから、ミス連発しちゃうんだよね」
自分のことをそう言いながら、ハハッと笑う美香さん。
確かに美香さんは、人としてはすごく温かみがあるし、気が付く人だけど、おっちょこちょいな性格もあって、ミスすることが多い。
あたしのほうが後輩だし、ずっと年下だけど、周りの人からもどっちが年上なんだか分からないとまで言う。
「でも美香さんは、今の美香さんだからいいんですよ」
「それ、褒め言葉?」
「一応」
苦笑いをするあたしに、美香さんは「もうっ…」とふてくされ顔。
でも決して怒っているわけではない。
「美香さんは、絶対に人に嫌われない性格ですから」
にこっと微笑んで続けた言葉に、美香さんは今度こそ照れくさそうに笑っていた。
いつも思う。
彼女の笑顔は人を元気にする。
あたしは、そんな美香さんが大好きだった。