続・危険なキス
17章 離さない
 
唇を離して、先生の瞳の奥をじっと見つめる。

その瞳は、まだ戸惑いが隠されてて……



「もう、言い訳なんか聞きたくないです。

 だって先生の過去なんか、嫌っていうほど知ってますから。
 先生が最低な男だったっていうのも……承知してます。


 それでも……



 好き、なんですよ」



今持つ、精一杯のほほえみを向けた。



「……紫乃…」



ようやく呼んでくれた、あたしの名前。

たったそれだけで、安心感に包まれてた。



「先生……」



あたしはそっと、先生の体を押し倒した。
 
< 210 / 344 >

この作品をシェア

pagetop