続・危険なキス
「仕事にはだいぶ……。
大きなミスとかもしませんし」
「まあ、お前は呑み込みとか早そうだもんな」
あたしの話を聞いて、特別心配なことはしていないようで、
先生はテーブルの上に置いてあったコーヒーに手を伸ばすと、まだ湯気のたつマグカップに口をつけた。
「あたしよりも、かなりおっちょこちょいな先輩がいますから」
「へー?」
「年はだいぶ上なんですけどね。
あ、多分先生と同じ年かも。25歳って言ってましたし」
「そんなやつが、カフェでバイト?」
「去年まではOLだったみたいです。
だけど夢を諦めきれず、看護学校に通いながらバイトをしているみたいで……」
「ふーん」
先生は、そこまで彼女に興味はないらしい。
だけど聞き流すことはしないで、ちゃんと耳を傾けている。
「でもすごいですよね。
一度社会に出てるのに、それを辞めてまでも追い続けるなんて……」
美香さんのことを、あたしは素直に尊敬していた。
というよりも羨ましかった。