続・危険なキス
「はぁ……
ほんと私って、ドジで困る……」
客足が途絶えたころ、美香さんがため息交じりでぼやいていた。
もう川崎さんは上がっていて、店内にいるのはあたしと美香さんと店長だけ。
時間は21時を過ぎていて、店自体は22時までなので今からお客さんが入ることは少ない。
「美香さんは慌てすぎなんですよ。
もう少し周りを見てから行動してください」
「はい……」
7個も年下のあたしにアドバイスをされ、しゅんとなる美香さん。
本当に、どっちが年上で、先輩なのか分からない。
「どっちか、ここの洗い物済ましちゃってー」
後ろから、店長の声が。
「は……」
「はーい!」
すぐに答えようとしたけど、それを美香さんが遮った。
「美香さん、洗い物はあたしが……」
「ううん。紫乃ちゃんはお店をまわしてて!
私一人だと、また何やらかすか分からないから!」
「……はい」
美香さんは、自分のことを分かっている。
あたしもそれには納得したので、後輩だからという理由で、洗い物を引き受けるのはやめにした。