続・危険なキス
 
「はい、駅着いたよ」

「あれ?川崎さんは電車に乗らないんですか?」

「そー。俺、歩いて帰れる距離だから」

「え!」


それを聞いて、驚いてしまう。


「じゃあ、もしかしてわざわざ送ってくれたり、とか……」

「んー。どうだろうね」


「そう」と答えない川崎さんの優しさ。
言葉を濁して、押し付けない。


「じゃ、またバイト先で」
「あっ、………ありがとうございましたっ」


軽く手を振って、来た道を戻ろうとする川崎さんに、慌てて頭を下げてお礼を言った。


それでも川崎さんは笑顔で「おやすみ」というと、背中を向けた。


川崎さんを見送り
一人になった瞬間

再び襲ってくる現実。



着信もメールも
何も入ってない、という画面を見るのが怖くて
あたしは鞄から携帯を取り出さずに家へ帰った。



抱き合う二人の姿が
頭から離れない。
 
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