元カレ教師~君と出会った物語~





「未来ちゃん?
未来ちゃーん!」


「うん?」


「うん?じゃなくて、そろそろスピーチ始まるよ。
一番バッターなんだからしっかりしなきゃいけないのに、何考えてたの?」


みやびちゃんに言われて、私は時計を見た。


「ちょっと妃奈と会った頃をね。
…って、みやびちゃんと阿紗子も準備しなきゃいけないんじゃないの?」


「そうだけど、最初の人がゆっくりしてるのに準備なんて出来ないわよ。」


「そうだよね。
ごめん。
じゃあ行ってきます。」


阿紗子に言われて、私は席を立つ。


司会者が披露宴を進めていく中、あたしは綺麗で幸せそうな妃奈を眺めていた。


辛い想いも沢山した妃奈が、初恋の人と結ばれる…なんて素敵なんだろう。


北条先生も、私が今までに見た事ない程幸せそうだ。


私まで夢見心地になる中、司会者が私の名前を呼ぶ。


「…新郎の教え子であり、新婦の親友である長谷川未来さんにスピーチを…」


また緊張しちゃって、司会者の声が聞こえなくなる。


でもやる事は分かってる。


私はスタンドマイクの前に立ち、一礼した。


「ただいまご紹介に預かりました長谷川未来と申します。
昴さん、妃奈さん、ご両家の皆様、本日は誠におめでとうございます。


このような素敵な結婚式に招いていただけた事、本当に感謝しております。


昴さん、妃奈さん、ご両家の皆様、ご着席下さい。


…私の都合ですが、昴さん、妃奈さんって呼んでいると、誰のことを言っているか分からなくなるので、普段通り、北条先生、妃奈と呼ばせていただきます。」



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