金色・銀色王子さま
イケナイ、イケナイ

二人で、と言ったカイトの甘い声に引き寄せられそうになった。
けどすぐに頭をよぎったのは片桐がきっと顔を真っ赤にして言ってくれた“あんたは、俺が守る”の言葉だった。



「…あ、あのねカイト。実は…」


『って、こんな寒いのにサイクリングなんて行ったら風邪引くっつーの!ねっ!!』


「え、あっ、そ、そうだよ!冬の川もいいけどさ、風邪引いちゃうよ!何言ってんのカイトったら…」



『まぁ冗談抜きでさ、あそこに行くのは麻衣ちゃんとって決めてんだよね。そのくらい、麻衣ちゃんは…』



その瞬間、あちっ!!っとカイトは声を張り上げた。
ビックリして麻衣は携帯を落とした。



「こっ、鼓膜破れるっ!!どうしたの?!」


『莉奈がコーヒーっ…コップっ…ほっぺた…あっちぃ~』


熱すぎて言葉にならないのか、おおよそ頬に温かいコーヒーが入ったコップを当てられたんだなと予想が付いた。


『もしもし麻衣ちゃん?』


『あ、莉奈さん。こんばんは』

『もうカイトが電話代わってくれないから強行突破してやったわ。いつもだけどねっ』
おそるべし、莉奈さんのドSっぷりに苦笑いを返すしかなくて。
でも莉奈さんは嬉しそうだった。



二人にしかない空気と、二人にしか出来ない会話。
電話の向こうの空間は少しだけ羨ましく思えた。



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