曇り空
------策なんてない。ただ、あの頭に鉛玉をぶち込んでやれば死ぬだろうという、安直な考えだけだ。
ここは方南町商店街の中央、辺りは廃墟と地割れの傷跡ばかりが目立っている。
その商店街の中で、一発空に向けて撃った。咄嗟にリロードする。
そしてしばらくすると、牛と豚の鳴き声が混じり合った様な鳴き声を上げて、巨体が早足で近付いてくるのが分かる。
「チャンスは一瞬。あのスピードだ、もう一度逃げる事は出来ないだろうな……」
それを覚悟で、この街中で撃鉄をならしたのだ。ここならどこから奴が来ても、射撃の態勢はとれる。
どこから奴が来るのか分かりずらく、距離を取れない路地では、逃げれるかもしれないが、仕留めきれないのだ。
「……来たか」
二つほど先の曲がり角に、大きな影が出来ていた。
のっそりと、曲がり角から巨体が姿を見せた。
「ッ!」
その次の瞬間には、乾いた破裂音が響いていた。
長期戦などする気はない。洒落た前口上も必殺の呪文も必要ない。
一瞬で、一発で終われば、それに越したことはないのだ。
「……やったか?」
少し痺れる手首をそのままに、沈黙する化け物を見やる。
見ると弾丸は確実に頭を撃ちぬいていた。だが
「ッ! 生きていやがる!」
確かに弾丸は頭蓋を打ち砕き、脳みそを飛び散らせた。だが、この化け物の目玉は、しっかりとこちらを映し、口元では舌なめずりをしている。
「クソッ! 」
二発、三発と顔面に撃ち込んでいくが、化け物は気にも留めようとせず、こちらに手を伸ばしてきた。
「寄るんじゃねぇ!!」
巨大な腕の付け根目がけて三発一気に打ち込む。
すると、その腕は力が抜けたように肩からぶら下がり始めた。
「弾がっ! ……あ?」
後退しつつリロードしていると、化け物がこちらを腕を押さえながら睨んでいるのが分かった。
「ああそうかい、俺だってお前が大っ嫌いだよ!」
リロードが終わり、今度は肥大した腹目がけて二発撃ちこんだ。すると…
「ひ、と……?」
傷口から、"誰か"の腕がボロッと落ちてきた。
続いて、ボロボロと誰かの死体のなれの果てが、次々と落ちてくる…
「化け物がぁ…」
吐き気を押さえ、銃を構える。きっと、人がいないのはこいつのせいだろう。
こいつが皆、食っちまったんだろう。
「!!!!」
怒りに任せて撃鉄をならそうとしたとき、化け物が豚の様な悲鳴を上げて突進してきた。
間一髪で避けたが、こいつの顔が血と怒りの二つで真っ赤に染まっているのが分かった。
「クッ!」
撃とうとするが、リロードを忘れていた。だが、この化け物は今にも突進してきそうな雰囲気である。
「ハッ! 俺は精神病患者だぜ? お前みたいなやつ夢の中で嫌と言うほど見てんだよ!!」
啖呵を切り、リロードするために弾を探す。だが、どうやら先程避けた時に落としてしまったらしく、弾薬は化け物の目の前に落ちていた。
「まずいな……」
この距離で飛びかかられたら終わりである。何かないかと考えているとき、思わぬ事が起きた。
「シャー!! 」
三匹の猫が、俺と化け物の対曲線側にあるパン屋の残骸の上から、威嚇していた。
「お前ら! 何やってる逃げろ!!」
飼い主の危機を察してきてくれたのだろうか、そんなことはどうでもいい。
俺は、お前らもスノウも失いたくないのだ……。
「逃げろ!!」
だが、こちらの叫び虚しく、ミケが化け物に突撃し、噛み付いた。
「ッ!」
次の瞬間には、散ったバラの花びらの様に血をまき散らしながら、宙を舞うミケの姿があった。
ここは方南町商店街の中央、辺りは廃墟と地割れの傷跡ばかりが目立っている。
その商店街の中で、一発空に向けて撃った。咄嗟にリロードする。
そしてしばらくすると、牛と豚の鳴き声が混じり合った様な鳴き声を上げて、巨体が早足で近付いてくるのが分かる。
「チャンスは一瞬。あのスピードだ、もう一度逃げる事は出来ないだろうな……」
それを覚悟で、この街中で撃鉄をならしたのだ。ここならどこから奴が来ても、射撃の態勢はとれる。
どこから奴が来るのか分かりずらく、距離を取れない路地では、逃げれるかもしれないが、仕留めきれないのだ。
「……来たか」
二つほど先の曲がり角に、大きな影が出来ていた。
のっそりと、曲がり角から巨体が姿を見せた。
「ッ!」
その次の瞬間には、乾いた破裂音が響いていた。
長期戦などする気はない。洒落た前口上も必殺の呪文も必要ない。
一瞬で、一発で終われば、それに越したことはないのだ。
「……やったか?」
少し痺れる手首をそのままに、沈黙する化け物を見やる。
見ると弾丸は確実に頭を撃ちぬいていた。だが
「ッ! 生きていやがる!」
確かに弾丸は頭蓋を打ち砕き、脳みそを飛び散らせた。だが、この化け物の目玉は、しっかりとこちらを映し、口元では舌なめずりをしている。
「クソッ! 」
二発、三発と顔面に撃ち込んでいくが、化け物は気にも留めようとせず、こちらに手を伸ばしてきた。
「寄るんじゃねぇ!!」
巨大な腕の付け根目がけて三発一気に打ち込む。
すると、その腕は力が抜けたように肩からぶら下がり始めた。
「弾がっ! ……あ?」
後退しつつリロードしていると、化け物がこちらを腕を押さえながら睨んでいるのが分かった。
「ああそうかい、俺だってお前が大っ嫌いだよ!」
リロードが終わり、今度は肥大した腹目がけて二発撃ちこんだ。すると…
「ひ、と……?」
傷口から、"誰か"の腕がボロッと落ちてきた。
続いて、ボロボロと誰かの死体のなれの果てが、次々と落ちてくる…
「化け物がぁ…」
吐き気を押さえ、銃を構える。きっと、人がいないのはこいつのせいだろう。
こいつが皆、食っちまったんだろう。
「!!!!」
怒りに任せて撃鉄をならそうとしたとき、化け物が豚の様な悲鳴を上げて突進してきた。
間一髪で避けたが、こいつの顔が血と怒りの二つで真っ赤に染まっているのが分かった。
「クッ!」
撃とうとするが、リロードを忘れていた。だが、この化け物は今にも突進してきそうな雰囲気である。
「ハッ! 俺は精神病患者だぜ? お前みたいなやつ夢の中で嫌と言うほど見てんだよ!!」
啖呵を切り、リロードするために弾を探す。だが、どうやら先程避けた時に落としてしまったらしく、弾薬は化け物の目の前に落ちていた。
「まずいな……」
この距離で飛びかかられたら終わりである。何かないかと考えているとき、思わぬ事が起きた。
「シャー!! 」
三匹の猫が、俺と化け物の対曲線側にあるパン屋の残骸の上から、威嚇していた。
「お前ら! 何やってる逃げろ!!」
飼い主の危機を察してきてくれたのだろうか、そんなことはどうでもいい。
俺は、お前らもスノウも失いたくないのだ……。
「逃げろ!!」
だが、こちらの叫び虚しく、ミケが化け物に突撃し、噛み付いた。
「ッ!」
次の瞬間には、散ったバラの花びらの様に血をまき散らしながら、宙を舞うミケの姿があった。