好きなんて、言えるかよ。


彼の小さなつぶやきに

わたしはこくりと頷いた。


「あの帽子ね……、

誠くんにもらった帽子なの。」


自分でも何を思ったか分からない。

だけど、なぜかそんな話を高村にしていた。


「遠足には3年生はいないからって、

被ってきて、あんな必死になって取ってバカみたいだよね

未練たらたら」


「ふーん。でも取れなかったじゃん」


「もういいの、なんかふっきれた」


あんな必死になって取ろうとして、

人を怪我させた。


こんなひどい事ってない。

きっと神様は、今日この帽子とさよならして
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