好きなんて、言えるかよ。


「お前、なめてんのか?

だれが頬でいいなんて言ったよ」


怒ってる。

それが声色で分かった瞬間


「んん……っ!」

彼は、私に強引なキスをしてきた。


反動で、後ろの壁に背中が当たる。


「……んっ、う」


深く口付けてくる彼に、力が抜けると

彼は私の腰に手をまわして支えた。


力の抜けきった手では抵抗も意味がなくて

何度も何度も合わせてくる口を許してしまう。


「……ゃ……だ」


初めてのキスだった。

大好きな人と、好きだって実感しながらしたかったのに


「……っく、」


今、私は

泣きながらキスを受け入れている。

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