好きなんて、言えるかよ。


「わぁ!ちょっ、泣かないで……!

ねっ?ゆっくり考えを整理しよ」


慌ててなだめる咲に

私はこくりと頷くと、咲は丁寧に説明し始めた。


「仁菜は、誠くんの事が好きだった」


うん。


「でも高村くんにパシリになれと脅されていた」


うん。


「それで高村くんのパシリから解放されたかった」


うん。


「だから、解放されて良かった」


…………。


「そうでしょ?」


うなずくことが出来ない私は

ずっと咲を見つめる。

鼻がツーンとして視界がボヤけ出した時

私は言った。


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