好きなんて、言えるかよ。


「ふ……っえく」


声を上げて泣く仁菜をぎゅっと抱きしめる。


何で俺、コイツのこと

一人にさせてんだろう。


離れて寂しいのは俺だけじゃないのに

簡単に忘れられるわけなんてないのに


なんで、別れようなんて言ったんだろう


「俺さ、友達や好きなやつと離れるのが

すっげぇ怖えーの。

だから、自分の気持ち誤魔化して

無かったことにしようとしたんだけど


そんなのは違うよな……っ


井上にも言われたんだ

メールや電話も出来るのに、何怖がってるんだって


俺はただ、転校がトラウマになってただけなんだよな……」


俺の胸の中で泣く仁菜をあやすように頭をなでる。







< 311 / 327 >

この作品をシェア

pagetop