ヒーローの缶詰
序章:ヒーロー研究会
大学構内の入り組んだ建物、それは敷地の隅に行くほど古く、汚くなる。


日当たりのいい路地を抜けると、シーズンオフの汚いプールと、

一際汚い、サークル棟。



「うわ、こんなとこにも部室ってあったのかよ!」


数人の学生は、偶然見つけてしまったらしいその建物を見て、笑った。



「なにこれ、なんか道場みてぇな看板あるぜ。」



一人が指差したのは、立派な木の板の上に、

無駄なまでに達筆で主張している看板。



「“ヒーロー研究会”?」


学生たちは、怪訝な顔で読み上げた。


「なんだこれ?」

「漫研みたいなもんじゃね?」


「うおっ!!」

部室を覗き込む彼らは、突然肩を掴まれて、その力に引かれるままに後ろを向いた。



「貴様らもヒーローになりたいのか!?」



赤いハチマキ、赤いマント、それは、昼下がりのキャンパスには似つかわしくない、


暑苦しい男だった。


「変態だー!!!」



叫び声は、広い広いキャンパスへ衝撃波を伴って消えていった
…。






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