へたれ王子
「……」
…い、いやいやいや。
待て待て待て。
これはあたしの夢だ。
あたしは夢を見てるんだ。
そう自分に言い聞かせてほっぺをつねってみるけど、夢は覚めない。
ってか、痛い。
しかも、あたしがそんなことをしている間にも、山下先生が星河先輩に言った。
「ごめんね、星河君!先生ちょっと用事が出来ちゃって…」
「え、ヤダよ先生!無理無理無理!そんなの俺に死ねって言ってんのと同じじゃん!」
「そう言うかと思って、代わりに保健委員の生徒に留守番を頼んでおいたから。心配はないわ」
山下先生がそう言うと、その途端星河先輩の声がピタリと聞こえなくなった。