へたれ王子



俺が後ろにいることに全く気付いていなかった田中先生は、

そう言ってビックリしたような声をあげると、俺から少し後退る。



「…何してんすか、」



思わず低い声でそう問いかけると、田中先生はとぼけたように、



「えっと…何が?」



って、ちょっと笑いながらそう言った。

やっぱこの先生…何か隠してる。怪しいな。


そう思うとなんだかムカついてきて、俺は無理矢理でも問いただしてみようと思ったけど…

その直後に田中先生は偶然通りかかった他の生徒に呼ばれてしまった。



「あ、田中せんせ~」

「!」

「ちょっとお話があるんですけど」



そう言って、田中先生の方を見る。


…タイミングわり~。


そう思ってため息を吐きかけたら、田中先生はそんな俺に



「ごめんね、星河くん。また後で」



そう言うと、逃げるようにしてその場を後にした。



「…っ、」



そんな田中先生の後ろ姿を眺めながら、俺は独り考える。


…本当に、何考えてんだ?あの先生。

今の、確実に菊池君のキスシーンを携帯のカメラに収めてたよな。

意味わかんねぇ…何の為に?




………あ、まさか…。


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