善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。
「藍、遥と何かあった??」
自販機の前で眠気覚ましのコーヒーを選んでいると、後ろから話掛けられた。
振り向くと、遥の婚約者の剛がいた。
「・・・・・・別に」
テキトーなボタンを押して、さほど飲みたいとも思っていなかったメーカーのコーヒーを買い、その場を離れようとする。
「じゃあ、なんで遥の事無視してんの??」
そんなワタシの腕を、剛が掴んで止めた。
なんでワタシだけが悪者みたいに言うの?? この人。
シカトしているのはお互い様だ。
「・・・・・・・遥に聞けば??」
「聞いた。 『藍に無視されてる』って言ってた」
「じゃあ、ワタシも『遥に無視されてる』ってコトで。 ただ、ワタシは、別に仲直りしたいワケでもないけど」
剛の手を振り払ってデスクに戻ろうとするも
「待てって」
尚も剛に腕を掴まれた。
・・・・・・・勘弁してよ。