善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。






飲み屋に着くと、剛は既に席に座っていて『大貴もビールでいいんだろ??』とオレの分のビールと、適当なつまみを頼んでおいてくれていた。





『おつかれ』と、とりあえず乾杯をする。





剛は勢い良くビールを半分くらい飲むと、『ふう』と息を吐いた。





「大貴は聞いてる?? 遥と藍のケンカの原因」





「・・・・・・剛は遥に何も聞いてないの??」





・・・・・・まぁ、遥が正直に言うワケないんだけど。





遥は剛に、何て言ったんだろう。





「『藍が突然シカトし出した』って。 だから藍に確認したら、まるで『遥に問題がある』みたいな言い方してさ。 大貴には悪いけど、オレ、結構藍にムカついてる。 遥、多分課長にも相談したと思うんだよね。 課長が藍に風当たり強くなったのはさ、やっぱ藍に原因があるからだと思う」






剛が真剣に語る、間違えまくった解釈に、ちょっと笑いそうになった。





が、藍が悪く言われるのは、聞き捨てなら無い。
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