善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。





大貴と付き合う前、確かにワタシは剛の事が好きだった。





と言うか、新入社員はみんな剛が気になってたと思う。





カッコイイし、優しいし。





そんな剛が遥と付き合う事になって





落ち込んで泣いてたワタシを慰めてくれたのが、大貴だった。





そのうち、明るくて面白い大貴にどんどん惹かれていって。





3年経った今も、ワタシは大貴が大好きだ。





・・・・・・・なのに。





「・・・・・・大貴は本当にそう思う?? ワタシが破談を願ってると思う??」





悲しかった。 ワタシの大貴への想いは伝わっていなかったのだろうか。





「・・・・・・じゃあ、なんで知らせる必要があんの?? 剛を悲しませるだけじゃん」





ワタシだって、剛を悲しませたいワケじゃない。





破談させたいワケでもない。






「・・・・・・じゃあ、ワタシが遥に課長と別れる様に言うよ。 それだったら問題ないでしょ??」






それでもホントは納得で出来ないけど。





この事を隠すと言う事は、遥と一緒になって剛を欺く事だと思うから。





「・・・・・・・・・」





大貴はすっかり機嫌を損ねたらしい。 返事もしてくれない。






「・・・・・・・料理、美味しかったね。 出よっか」






「・・・・・・・・」






無言のままの大貴と、遥たちにバレないようにレストランを出た。







最悪な3周年記念日。
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