善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。






「・・・・・・・もし、藍の気持ちがオレに揺れたら、それはそれで仕方のない事だよね??」





剛は、本気で藍に縋るつもりだ。





「・・・・・・・剛は、藍の事好きなワケじゃないだろ」





本気で藍を好きならまだしも・・・・・・・イヤ、それも無理だけど、ただ辛いからって理由で藍を渡せるワケがない。 





「・・・・・・・オレ、オレの事をずっと好きでいてくれる人と一緒にいたいんだよ。 藍はさ、道徳に反するような事、絶対しない性格じゃん?? ・・・・・・藍といると落ち着く。 藍がいてくれたら、安心出来るんだろうなって思う」






剛の言っている事は解る。 オレもそう思う。 でも






「・・・・・・・それは『好き』って事じゃないだろ」






「『好き』って事ではなくないよ。 オレ、藍とキスもセックスも出来るし」





・・・・・・・・何言ってんだ、コイツ。






人は心に大きな傷を負うと、こんなにも精神が崩れてしまうものなのか・・・・・。






本来の剛は、こんなウンコ野郎ではない。






何か、剛が哀れで可哀想に思えた。






でも、だからって、藍を淋しさや辛さの穴埋めなどに使わせない。
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