愛し*愛しの旦那サマ。


リビングへと入り、臣くんはジャケット、ネクタイ、カバンを何時ものように私に渡す。


―…ここで、カバンを渡すってことは、この中にはナシってこと?


じゃあ、夕飯を食べた後か入浴の後くらいに出てくるパターン?

じゃあ、じゃあ、早く臣くんも私に渡したいだろうから、ちゃっちゃと済ませねば……


そう思って、てきぱきとダイニングテーブルに夕食を運び、ソファーでテレビを見る臣くんに声をかける。


「臣くん、臣くん」

「何?」

「夕飯にしよ~」

「ああ」


……


と言うも、今日に限って臣くんがソファーから動いてくれない。


「臣くん、冷めちゃうよ?」

「これ見たらすぐに行く」


そう言って臣くんが見るのはバラエティー番組。

普段、バラエティーなんて滅多に見ないのに……(しかも、ずっと無表情のまま見てる)


「……臣くん、お腹空いたよ。早くこっち来て食べようよ」

「先に食べれば?」


「……」


何で今日に限って、そんなにのんびりと……


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