愛し*愛しの旦那サマ。


「金曜日の夜って気分が上がるよね~勿論、臣くんに会えてもっと気分上がってるけど~」

「へぇ~…それはどうも」

「ところで、そんな気分の上がる金曜夜の臣くんのご予定は~?」

「別に……」

「何なら一緒に晩御飯でも食べますか~?」

「遠慮しとく」

「じゃあ、明日の夜ならいい?」

「却下」


自分のマンションと彼女の住むマンションが近い為、仕事帰りに捉まればこんな会話を繰り返し、帰路に着く羽目になる。

あの日以降、彼女の押しは強烈だった。

そんな彼女に、いくら冷たい言葉をかけても、めげる様子もなく逆にどんどんエスカレートしている状態。


そして、やっと分かれ道まで辿り着くと、


「今日も臣くんと一緒に帰れて嬉しかったです。また来週もヨロシクね~そんな感じで今日も臣くんが大好きな幸代でした」


勝手に満足し、満面の笑みで俺に手を振り、帰っていく彼女―…


< 428 / 498 >

この作品をシェア

pagetop