たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
今の亜紀はそう言うことしかできないのだろう。アンジーがぶつけてくる思いが予想外。それが正直な気持ちなのだろう。彼の顔を見て、口をパクパクさせることしかできない。そんな彼女に囁き続けられる声は情熱的で、今にも流されてしまいそうになる。



「アンジーって呼んで。亜紀にはそう呼んでほしい。お願いだから、そう呼んで」



囁きかけられる声には含まれているのは熱情だけではない。どこか苦しげな色も微かに含まれている。そのことに気がついた亜紀は、思わず「アンジー」と呼びかけることしかできない。その声と同時に、体が沈められる。

何があったのかと思う彼女の唇に重ねられる熱いアンジーのそれ。まさかと思う事態に逃げようともがく彼女だが、おさえこまれた状態で逃げることができるはずもない。

何度も繰り返される口づけはだんだんと激しくなり、息継ぎすら許さないほどのものになっていく。そのことに生理的な苦しさからか涙を浮かべ、拒絶の色をみせる亜紀だがアンジーがやめる気配はない。それでも、自由になろうと必死になって彼の腕を叩く亜紀。だが、それが通じることもないのだろう。

ようやく、彼が離れた時には亜紀の息はすっかり上がり、顔は真っ赤になってしまっていた。そんな彼女の耳元で囁き続けられる声。



「愛しているよ。誰よりも愛している。だから、僕を選んで。絶対に泣かせない。惟よりも誰よりも、君のことを幸せにするから」


「アンジー、そんなこと言われても……だって、私、惟のこと……」


「その名前は言わないで。今は僕だけを見て」
< 145 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop