たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
「はい、竹原さん。しわくちゃにしちゃったけど、手入れお願いします」


「かしこましりました。それより、旦那様とのお話はお済みになられたのですか?」



雅弥のその声に、亜紀はまた先ほどまでのことを思い出したのだろう。一気に顔が赤くなってくるのを止めることができない。そんな彼女の様子に、雅弥は「お嬢様?」と不思議そうな声を上げるだけ。その声に、亜紀は先ほどまでのことを白状するしかないと思っているようだった。



「お父さんとの話は終わったような、終わらなかったような……」


「左様でございますか?」


「うん……ちょっと、ビックリすること言われちゃったから」



そう呟く亜紀の姿がどこか放心状態のようにもみえる。そう思った雅弥だが、ここで彼女の言葉を切ってはいけないことも分かっているのだろう。静かに話の続きを待っている。



「あのね。私って婚約者がいたんだって。竹原さん、知っていた?」


「婚約者、ですか? いえ、存じ上げてはおりませんでしたが、そういうお方がいらっしゃってもおかしいとは思いません。そうですか。では、本日の山県様のご訪問はそれが理由でしたか」



知らなかったと言いながらも、その口調は当然というようなものが含まれている。そのことに気がついた亜紀は、むしゃくしゃする気持ちを抑えることができない。こうなったら、どこかでストレスを発散させないといけない。そう思った彼女は雅弥に向かってキッパリと言い切っている。



「竹原さん、明日、由紀子と会うから。言っとくけど、迎えに来たりして、邪魔しないでよ」



ビシッと指差しながらそう告げられる言葉。それに対して、雅弥は目を白黒させながら「かしこまりました」と告げることしかできないようだった。



to be continued



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