たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
「そうなんだ」


「そうですよ。でも、さっきの反応だと見込みもあるかな?」



そう言うと由紀子はその場から飛び出した亜紀のことを思い出したのだろう。コクリと小首を傾げながら言葉を続けている。



「絶対、さっきの亜紀ってヤキモチ妬いたに決まってますから。あの子、さっきも話している時真っ赤になってたんですよ。でも、なかなかそれ認めようとしないから。なので、ちょっと荒療治。惟さんがのってくれて助かりました」


「やっぱり、さっきのってわざとだったんだ」


「ですよ。でも、あなたのことちゃんと知りたいっていうのは本音です。連絡先まで教えてもらえるとは思ってませんけど、あれくらい言わないと、あの無自覚天然には効果がないから」



しごく真面目な顔でそう告げる由紀子の姿。それを見た惟はフッと笑みを浮かべると、髪を無造作にかきあげている。その仕草に色気を感じたのか、由紀子が顔を赤くすると「それって反則ですよ」と叫びだす。そんな彼女に、惟は余裕を持った表情で応えていた。



「そう? でも、僕としては由紀子ちゃんっていう協力者ができたのは嬉しいかな。とにかく、亜紀ちゃんからの要望もあるし、僕のやってること教えてあげる。そうだな。ちょっと遠いから車で移動してもいい? 今から迎え呼ぶから」



その声に由紀子はコクリと頷いた時、ようやく亜紀がその場に戻ってきている。まだ、どこかぎこちない雰囲気の彼女に、由紀子は「場所を変えるわよ」と告げると、その手をグイッと引っ張っているのだった。



to be continued



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