最後の夏休み Last Summer Days.
第8話 トンネルの空を泳ぐ
第8話 トンネルの空を泳ぐ





引き込まれてしまいそうな青の大きな水槽を、アタシはじっと眺めていた。



カラフルな熱帯魚のダンスは、少しだけアタシの気持ちを癒してくれた。



「小説家、キレイだね」



突然水族館に行きたいと言ったアタシに嫌な顔せず付き合ってくれた。



「食べたらおいしいかな?」



まだ眠そうで、ぼーっとしながら言う。



「食べちゃダメだよ。生きてるんだから」



アタシを気づかって笑わせようとしてくれているのが嬉しかった。



「わかってるよ。でも、こうやって見られるのはいいことだけど、かわいそうだとも思うな」



「何で?」
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