最後の夏休み Last Summer Days.
「………自殺したんだって………」



彼女は何も言わないで聞いていた。



泣いていたのかもしれない。



声も出さずに、愛したヒトの死を受け入れようとしている。



アタシと違って、強いヒトだから。



「………やっと―――」



そんな彼女が小さく言った。



「―――やっと自由になれたんだね」



それが小説家に言ったのか、


彼女自身に言ったのか、



アタシにはわからなかった。



その後はアタシが彼女に慰められるばかりで、



彼女の辛さをわかってあげられなかった。



「カニクリちゃん。今度一緒にご飯食べようね。また、電話するから」



そう約束をして、電話を切った。
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