最後の夏休み Last Summer Days.
「起きてたんだ?」



「泣き声が、聞こえたから」



床に敷いたマットの上で伸びをしている。



「泣いてなんかないよ」



「じゃあ寝てる時かな。さみしいって泣いてた」



まだ寝ぼけた顔でアタシに笑ってみせる。



「マジムカつく!」



アタシがベッドから下ろした足で蹴ると、



「痛いよ」



小説家は言って起き上がった。



「朝ご飯食べようか?」



リモコンでつけたテレビから天気予報が聞こえていたけど、



「食べたら、荷物まとめよう。手伝うから」



この時のアタシには、雑音にしか思えなかった。


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