オフィスの甘い獣(ケダモノ)
試合はウチの勝利で終わった。



「伊澤には悪いけど…勝っちまったな…これから打ち上げだぁ~」



皆…タオルで汗を拭きながら打ち上げの話をしていた。



「俺は今日の打ち上げはパス…」



「立脇はこれから…彼女とデートか…」



「別に俺は…」



「テレるなテレるな…」



私たちはチームメイトたちに誤解されたまま…別れてしまった。



「皆に誤解されたままだな…」



「立脇さん…上手ですね…」



「俺よりも上手い人が今日は居なくて…」



「…」



私たちは他愛もない話をしながら…駐車場を歩いていた。



「!?危ないっ!」



急に猛スピードでフルスモークのワゴン車が私たちに突っ込んで来た。



私を突き飛ばし、立脇さんがワゴン車に接触する。



「立脇さんっ!!?」



立脇さんはその場に蹲って足の爪先を押さえた。

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