オフィスの甘い獣(ケダモノ)
「…でも、俺は千寿子、お前は和を愛してる…」


「…うん」



「…過ぎた想いを告げない方が良かったのかもしれないけど…けじめとして…言いたかったんだ」



「・・・」



お義兄ちゃんはベットの脇の椅子に腰を下ろして、そっと布団に手を入れて眠る千寿子の右手を握り締める。




「お前と和の結婚…祝福するよ。俺たちは恋人同士にはなれなかったけど…いつまでも兄と妹だ…」




「うん」



「…幸せにな…佑月」




「幸せになるよ…私…適当にタクシー拾って家に戻る…」



「ああ~」




いつまでも兄と妹か…



私は安堵の息を漏らして…病院を出ていく。



私の中で完全にお義兄ちゃんへの想いは吹っ切れた。




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