何故、泣くのだ。
別にいいのだ。愛されることを望んでいる
訳ではないのだから。

学校でも必要とされることはなかった。
父が自殺したと同時に、周りにいた人間は
例外なく私の周りから消えていった。

「要するにお前は邪魔なんだよ。」

「近寄んな、まぢ消えろ。」


偏見と思い込みの激しいこの御時世。
私なんかの居場所を作ってくれる程、親切な
世間ではないらしい。

今夜は特に、気持ちが沈みこんでいた。
例えば、熱いコーヒーに浮かべたホイップが
溶けて混ざりながら沈んでいくかのように。

自分しかいないこの家でさえ、喧騒に思える。
時計を再び見上げる。午前0時23分。
そろそろ寝ようかと思い、テレビを消し、
自室へと戻った。


ガチャン。


ベッドに潜り込んだ丁度その時、玄関の扉が
閉まる音がした。母が帰ってきたのだろうか。
久しいので少し、驚いた。

「りょ~ぉうかぁっ!いるのーぉ??」

私は返事をしない。いつもそうだ。
黙っていれば、母が連れ帰る男に向かって、
私への真意を晒すだろうから。

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