御劔 光の風3
Ⅰ-Ⅵ カリオ
カチ カチ カチ

頭の中で規則的に響く音がする。

どこかで聞いた音だと思うがすぐには思い出せなかった。

これは一体何の音だろうか。

ボーン ボーン

「ああ、時計だ…。」

さ迷っていた答えを見いだして貴未はゆっくりと目を開けた。

時計の音が響く中で広がっていく視界、横たわっていた身体の下には草がある。

目線を上げていくと緑豊かな景色に町も見えた。

まるでドームのような造りのここは、大小からなる歯車に囲まれている。

鮮やかな色、木のようなもの、石や煉瓦、色彩がはっきりしたものから半透明なものまで様々な歯車がゆっくりと動いていた。

さっき音を出していた巨大な振り子時計は天井まで覆い尽くすほどに伸びており、砂時計も歯車に挟まれる仕掛けの中にいくつか存在していた。

砂が落ちきると反転してまた砂が流れ出す。

不思議なものだ、見える景色は殆ど歯車で埋め尽くされているのに解放感はある、それでも空を感じる。

空は青くて雲もある、鳥も飛んでいる。

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