御劔 光の風3
「眠っているだけだ。」

千羅の言葉に安心したが同時に反発心も生まれ、衝動的に睨んでしまった。

まだ落ち着きを取り戻せていないのだ。

「違うだろ。あんたがやったんだろうが。」

叫ぶわけでもないが、まるで刺すように貴未は千羅に向けて言った。

分かっていた反応だと千羅は動じる事無く受けとめる。

「そうだ、日向にはまだ早すぎる。だから眠ってもらった。」

少しずつ足を進めて貴未に近付いていく、その度に貴未の目が細く眉間にしわが寄っていくのが分かった。

「頼むから…あいつの前でそんな顔をしないでやってくれ。」

千羅の切ない声が部屋の中に響き渡る。

予想もしない言葉に貴未は怒りを忘れ千羅に見惚れてしまった。

それと同時に思い出したことがある。

カルサが封印から放たれた時、誰よりも早くカルサの許へ駆け寄り支えた姿。

本当にカルサを慕っている事を誰もが感じられたあの姿を思い出したのだ。

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