御劔 光の風3
カルサは外陰で肩から脇腹にかけての大きな傷を隠したまま、その痛みを表さぬようにこれ以上ない力強さを全身で表現していた。

すべての視線がカルサの目、表情に注がれるよう十分に民たちの心を掴んでいたのだ。

ゆっくりと見回しこの場にいる民たちの表情を目に焼き付ける、その中にあるリュナの存在にも気付いた。

二人の視線がぶつかり合う。

決してそらさない瞳にカルサはリュナの意志を感じ取ることができた。

「風使いリュナ・ウィルサ。」

カルサの言葉に促され民たちの視線がリュナに向けられる。

「はい。」

リュナは短い返事だけ放ち背筋を伸ばした。

「外へ出て、応戦しろ。」

短い言葉、しかしそこには深い意味と想いが入っていた。受け取ったリュナの表情が明るくなる。

「はい!陛下。」

リュナの笑みがカルサの気持ちを和ませ、彼の笑みも誘う。リュナは一礼をしてすぐに部屋の外へ出ていった。

この動きをきっかけに民たちも騒ぎ始める。

囁き声が少しずつ声が大きくなっていく、彼女は噂に聞く風神なのだろうか、応戦ということは外の状況は劣勢なのだろうか、様々な憶測がまた不安を呼び混乱が始まりそうになるのを抑えるべくカルサは声を上げた。

「今から!」

カルサの声に一気に騒ぎはおさまった。再び注目はカルサ一人に注がれる。

「この部屋に結界を張る。いいか、決してて結界の外には出るな。」

カルサはさりげなく胸に付いた傷を指でなぞり血をつけた。

その場にしゃがむと血の付いた指で床に文字らしきものを書き耳が遠のくような圧力を生む。

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