御劔 光の風3
彼らだけではない、御劔というしがらみや王家という戒めからカルサを解き放れてやれたらどんなにいいか。

彼は雷神で国王なのだ、そして唯一の血縁者であるサルスは幼い頃から背負い過ぎたカルサを助ける為だけに生きている。

恐ろしいとに自らの姿さえも作り変え長い間自分を偽って守ってきたのだ。

カルサが居なくなったことでサルスは当たり前のように自らを消して自身がカルサとなった、いつかまた同じようなことがあれば彼は間違いなく躊躇わずに自分を消してしまうだろう。

なんて儚くて強い人物か、そんなサルスをどうにかして助けたいとずっと思ってきた。

しかしカルサは何一つの重荷さえ下ろす事を許されない。

本来彼を支えるであろう両親は幼い頃に亡くなってしまった。これ以上彼をどう苦しめたらいいのだろう。

解放してやれというには随分投げやりなものではないか、ハワードは自分の無力さを悔いて衝動から手で顔を覆った。

「ナル…私を許してくれるか?」

あの時、カルサが封印されてしまった場所に居合わせた兵士から聞いた。

カルサは胸を剣で突かれて倒れたと。

ハワードはあまりの衝撃で目の前が真っ暗になった、しかしそれと同時に思ってしまったのだ。

これで彼も解放されたのではないのかと。

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