御劔 光の風3
こうしてナルは新しい国王と共に閉ざされたままの部屋から歩き出し、人の賑わう中へと再び戻ってきた。

公の場所にも姿を現し、王族以外にも尋ねる者があれば占いをする。彼女の占いは良い導きをもたらすと評判になりたちまち誰もが認める実力者となったのだ。

そしてデルクイヤの手を取ったことでナルに戻ってきたものがいくつかあった。

あの日、命じられるままにカオの部屋に行った時から会うことのなかった女官仲間とも再会したのだ。十年以上経ったおかげで居なくなった者も多かったが、それでも懐かしい出会いに心を震わせた。

あの頃新人だった仲間もそれなりの地位を任されている、その中の一人が後に女官長となるフレイクだった。顔を見るなり二人は涙をこぼしながら言葉なく抱き合った。

やはりナルのことは仲間内でも衝撃が強かったようで、それを機に后に対する反発心がかなり大きくなったというのだ。何度ナルを戻すように願っても跳ね返されたのだという事実にナルは嬉しくなった。自分の為に戦ってくれた友人がいたという事実が何よりの喜びだったのだ。

あの日、ナルが居なくなったことで泣いてくれた仲間が沢山いたのだと聞かされた時にはもう立っていることも出来なくなった。

諦めて、何の起伏もない感情のまま生きてきた時間は取り戻せないが、懐かしい昔の自分を取り戻せたようで涙が止まらない。自由に行き来出来るようになったナルの部屋には絶えず人が通うようになった。

やがてデルクイヤ夫妻にも子供が生まれる。

「まっすぐな目をしていらっしゃる。聡明で美しいお方になられるでしょう、そしていつか生まれ来る弟を支える頼もしい姫君になられます。沢山の幸に恵まれる素晴らしい人生が見えますわ。」

祝いの言葉としてナルは生まれたばかりの赤ん坊にそう語りかけた。その赤ん坊こそがカルサの姉であるハーブ、ナルの言葉通りにカルサを支え続けた女性だった。

ユーセシリアルはナルを部屋に招きハーブと共に穏やかに過ごす時間を設け、数年後にはそこにサルスも加わる。さらに数年後、待望の王位継承者となるカルサが生まれた。

出産を終えたばかりのユーセシリアルの許にナルは招かれる。ベッドに横たわる彼女の傍には幸せそうに笑うデルクイヤとハーブの姿もあった。

「ナル!来てくれ、男の子だぞ!」

待ちきれないデルクイヤは手を大きく振ってナルを招く。その姿に微笑みながらナルはゆっくりとベッドの傍に近寄った。

「おめでとうございます、ユーセシリアル様。」

「ありがとう、ナル。女の子も可愛いけど…男の子も可愛いわね。」

「ええ、本当に…。」

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