君の『好き』【完】
吉井くんは自分の左手首を軽く握って、くるくるっと回した。
「愛莉さんは?外して大丈夫なの?」
吉井くんは椅子の背もたれにどかっともたれた。
「別れたよ。
愛莉も最近は、俺に罪悪感を感じていたって.......
時間が経って、類に対する気持ちに整理がついたんだと思う。
愛莉は.....やっと類のことが、思い出になったんだよ」
吉井くんは下を向いて笑った。
「俺もやっと、類のことをちゃんと考えられるようになった気がする。
死んだことを恨んでいる自分が嫌だった。
今は、悲しいし寂しいし......
でも類は俺の気持ちをちゃんとわかってくれているって、
そう思えるようになったから、俺もやっと前に進めそうだよ」
「吉井くん......」
「鈴は?渡瀬と付き合ってんの?」
吉井くんは、体を起こして、頬杖をついた。
「付き合ってるっていうか......付き合いたいと思ってる」
吉井くんから目をそらして答えると、「そっか」とそっけない返事が聞こえて、
また吉井くんを見た。
吉井くんは、くしゃっと笑っていた。
「幸せになれよ」