君の『好き』【完】
「類......類......」
名前を呼びながら、俺に抱きついている愛莉を、
俺はどうしたらいいのか、わからなかった。
抱きしめてやったほうがいいのか......類。
俺は、類の代わりに、
お前の人生の続きを歩かなくちゃだめなのか?
俺は、自由に生きちゃダメなのか.....
俺、今好きな子が.......
俺は、どうしたらいい。
教えてくれよ、類.......
愛莉が抱きつくのをやめて、俺の顔を見た。
「ずっとそばにいて......お願い。
もう、ひとりにしないで.......」
愛莉をひとりにしたら、また何をするかわからない。
類のためにも、
愛莉を死なせるわけにはいかない。
やっぱり俺が.......
俺は一度ぎゅっと目を閉じた。
「わかった。そばにいるから。
安心しろ」
愛莉は、また俺に抱きついてきた。
でも、俺は抱きしめなかった。
ただ、泣き止むまでそのまま、
座っているしかできなかった。