ツンデレくんをくれ!
「奈子、帰ろー」
「うん、帰ろう」
部活を終えて、ジャージから私服に着替えて志満ちゃんと女子の部室から出ると、向かい側の男子の部室から小杉くんともう一人の男子が出てきた。
「あ、お疲れー」
二人に声をかける。
あくまでも自然に。飾らず。同じテニス部員として。
「…………」
二人はあたしと志満ちゃんを一瞥した後、ふいと顔を背けてその場を離れて行ってしまった。
……は?
不意打ちを食らったように、あたしはしばらくその場を立ち尽くして、その様子を見ていた志満ちゃんは立ち去った二人とあたしを交互に見て戸惑っていた。
無視? スルー?
「二人揃って、無視ー!?」
しばらくして、ようやく我に帰ったあたしは思わず叫んでいた。
「な、何なのあいつらっ! 二人して無視することなくない? せめて返してくれてもよくない!?」
怒りが今頃湧き出て、あたしは志満ちゃんにぶちまけた。
「んーと、まあ、中出は元々あまり挨拶を返してくれないからまあいいとしても、小杉さんはいかがなものか……」
志満ちゃんがあたしに同意しているのかしていないのかよくわからない感想をぼそぼそと口にする。
「そうなの? 中出って挨拶返してくれないの?」
「奈子、知らんのけ?(=知らないの?)」
「だって、中出と関わったことほぼないし」
小杉くんと一緒に無視してくれたもう一人の男子、中出駿哉は、あたしが入部して一ヶ月経ってからようやくその存在を認識したような男だ。
というか、テニス部に入ってからずっと小杉くんのことしか見ていなかったあたしは、他の男子のことなどほとんど気にもかけていなかったのだ。
「うん、帰ろう」
部活を終えて、ジャージから私服に着替えて志満ちゃんと女子の部室から出ると、向かい側の男子の部室から小杉くんともう一人の男子が出てきた。
「あ、お疲れー」
二人に声をかける。
あくまでも自然に。飾らず。同じテニス部員として。
「…………」
二人はあたしと志満ちゃんを一瞥した後、ふいと顔を背けてその場を離れて行ってしまった。
……は?
不意打ちを食らったように、あたしはしばらくその場を立ち尽くして、その様子を見ていた志満ちゃんは立ち去った二人とあたしを交互に見て戸惑っていた。
無視? スルー?
「二人揃って、無視ー!?」
しばらくして、ようやく我に帰ったあたしは思わず叫んでいた。
「な、何なのあいつらっ! 二人して無視することなくない? せめて返してくれてもよくない!?」
怒りが今頃湧き出て、あたしは志満ちゃんにぶちまけた。
「んーと、まあ、中出は元々あまり挨拶を返してくれないからまあいいとしても、小杉さんはいかがなものか……」
志満ちゃんがあたしに同意しているのかしていないのかよくわからない感想をぼそぼそと口にする。
「そうなの? 中出って挨拶返してくれないの?」
「奈子、知らんのけ?(=知らないの?)」
「だって、中出と関わったことほぼないし」
小杉くんと一緒に無視してくれたもう一人の男子、中出駿哉は、あたしが入部して一ヶ月経ってからようやくその存在を認識したような男だ。
というか、テニス部に入ってからずっと小杉くんのことしか見ていなかったあたしは、他の男子のことなどほとんど気にもかけていなかったのだ。