ツンデレくんをくれ!
「なんで、泣いとるん…?」


中出の目が開いて、あたしの姿を捉えた。


やっべええええ。あたしが寝顔見てたことばればれじゃん。


そう思って離れたかったけど、体が動かなかった。


「は……?」


てか、泣いてる?


泣きそうではあったけど、涙が出てるとか……。


中出がふっと笑って、あたしの頬に手を伸ばした。


冷たい指先が涙を拭った。


「ね、寝ぼけてる?」


普段の中出だったら、まずありえない。


あたしに触ったことすら、たぶんなかったはず。


ましてや、笑いながらあたしに触るなんて。


「ん……」


よく見ると、中出の目はとろんとしていた。


あ、完全に寝ぼけてますね。


眼鏡かけていないし、よく見えてもいないよね。自分が何しているか絶対わかってないよね。


「抱きしめてもいい?」


寝ぼけている中出ならもしかしたら……とふと思ってしまった。


「はあ?」


中出は思い切り顔をしかめて、起き上がって眼鏡をかけた。


……やっぱりダメだったか。


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