凪とスウェル
「もしもしー」


甲高い声で電話に出るマキ。


「あぁ、田村?」


意外な人の名前に、ドキンと心臓が跳ね上がる。


「うん、すずでしょ?いるよ。

今?今、カラオケ。

はぁ?

あぁー。まぁいいんじゃない?

わかんないけど、ちょっと待って。聞いてみる」


そう言ってマキが電話を耳から離す。


「ねぇ、田村が今から合流していいか?って言うんだけど。どうする?」


「えぇっ?なんで?」


思わず身体を仰け反らせた。


「なんでって、すずに会いたいからに決まってんじゃん」


「いや、困るよ。もう別れてるんだし。今さら会ってもさ…」


「えーでも、別に嫌いになって別れたわけじゃないでしょ?
アイツ、まだ引き摺ってんのよ。
ちょっとくらい会ってやれば?
私らもいるし、二人きりにはしないからさー」


「うー…」


「いいって言うからね!」


え~そんなぁと思っていたら、マキはあっさり田村にOKの返事をしてしまうのだった。
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