凪とスウェル
「ねぇ、隆治。

隆治のお父さんとお母さん、今は別れてるけどさ。

隆治がお腹に居た時は、きっとすごく愛し合ってたんだと思うよ。

二人は、隆治を守りたかったんだよ。

だから、おじいちゃんに反対されても、勘当されても、二人で力を合わせて、隆治を産んだんだと思う…」


隆治は、何度も鼻をすすっていた。


あたしは隆治の背中を撫でながら、さらに続けた。


「隆治は、ちゃんと望まれて生まれたんだよ。

ちゃんと、愛されてたんだよ。

隆治こんなに健康で、大きくなってるじゃん。

それはお父さんが仕事してお金を稼いでくれて、お母さんがご飯を食べさせてくれてたからでしょう?

病気にならないように、気を遣ってくれてたからでしょう?

もし二人がひどく冷たい人だったら、隆治こんなに健康に育ってなかったと思うよ…」


親が離婚したりすると、あたし達子供は、親の都合で振り回されてしまう存在だけど。


でも…。


親がいなきゃ生きていけないし、知らない間に親から与えられてるものが、きっと沢山あるはずなんだよね…。
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