凪とスウェル
衝撃
そんな冬休みも終わり、受験日があと数日に迫ったある夜中のことだった。


勉強机で勉強をしていたら、私の携帯が鳴った。


画面には“八神隆治”の文字。


どうしたんだろう?こんな時間に…。


そう言えば今日は電話がなかったなと思いつつ。


「もしもし…?」


寝ているおばあちゃん達を気遣って、あたしは小声で電話に出た。


『すず…』


妙に掠れた隆治の声。


「隆治どうしたの?ひどい声。風邪でもひいた?」


あたしの問いに、しばらく沈黙の隆治。


「隆治…?」


なんだか様子が変だ。


一体どうしたの?


『すず…。会いたい…』


「隆治?」


『今すぐ、会いたい…』


「えと、あの…」


隆治はその後も、会いたいしか言わなくて。


あたしは返事に困ってしまった。


「隆治。あとホントに数日だよ?

あとほんの少しだから、待ってて」


そう言ってはみるものの、隆治はせつなそうなため息をつくばかり。


声に力がないし、明らかに様子がおかしい。


「隆治、何かあったの?何かあったんなら教えてよ」


必死に言葉にするけれど、隆治は理由を教えてはくれない。


あたしは言いようのない不安に、押し潰されそうになっていた。
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