凪とスウェル
記憶の欠片
あたしって、子供の頃からずっとそうだった。


近所でいじめられている子がいたら、そのいじめている子に注意したり。


学校で元気のない子がいれば、放っておけなくて、どうしたの?と声をかけてしまう。


中学の時に付いたあだ名は、アネゴだった。


女子に慕われるのは悪い気はしないし、頼りにされるのはイヤじゃなかった。


だけどこの頃、ちょっと様子が変わって来たような気がする。


単に頼みごとを断れない、人が良いだけの、損な性格になってしまっている。


どうしたんだろう。


友子の言うように、なんだかキレがないような気がする…。


そんなことを思いながら、待ち合わせ場所である遊園地の入口に、あたしは立っていた。


そう。


試験も無事終わり、ついに来てしまったのだ。


この日が!


今日は水曜日。


隆治の仕事が休みの日だ。


夏休みだから子供や学生が多くいるけれど、土日の賑わいを考えれば随分少ないと思う。


ボーッと一人で立っていると、あたしの視線の先に大きなスニーカーが見えた。
< 388 / 733 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop