凪とスウェル
「すず。おばあちゃんがうるさいから、島に着くまでにそのつけまつげ取っておきなさいよ」


そう言い残して母さんはトイレへ立った。


つけまつげくらい別にいいじゃんと思いつつ、カバンからガサガサと手鏡を取り出す。


母さんの実家には何度も行った事がある。


年に二回、お盆とお正月に。


おばあちゃんはいい人なんだけど、とてもしつけに厳しい人なのだ。


もともとガサツなあたしはおばあちゃん家に行くたびに叱られて、正直居心地が悪くてしょうがない。


これから先ずっとあのおばあちゃんと一緒に暮らすのかと思うと気が遠くなる。


「もう、最悪…」


つけまつげを外しながら呟いたその直後、ゴンッと背中に衝撃が走った。
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