凪とスウェル
夏の秘密
6人でのドライブが終わると、あたしはヒマな夏休みを送っていた。


片岡君に会いたいところだったけれど、家庭教師のアルバイトやら、学習塾の助っ人講師としてかなり忙しいようで、なかなか実現しなかった。


そうこうしているうちに母さんから電話が入って、ヒマなら果樹園を手伝いなさいと叱られてしまった。


お盆には帰れなかったけれど、大学の夏休みはまだまだ長いし、島に帰ることを決めた。


そんな島に出発する前日の夜のことだった。


あたしのスマホに、見知らぬ番号から電話が入った。


「えー、誰ー?」


無視したいところだけど、たまに友達の時もあったりするから、とりあえず出てみた。


「はい…」


『すず?俺ー』


お、俺?


「えっと、あのー、どちら様?」


『はぁっ?マジでわかんねーの?

俺だよ、俺!』


「だから、誰?」


俺だけじゃわからないっての!


『誰ってお前…。

隆治!』


「えぇっ?」


りゅ、隆治ーーー?
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