凪とスウェル
千春の思い
ひとしきり泣いて、ふと冷静になると。


日付は既に変わっていて。


終電の時間ももう過ぎているので、今夜はこのまま泊まることにした。


今思えば、右京君はそれを計算していたのではないだろうか。


彼ならやりかねないかも…。


突然来てしまったから、当然だけど泊まる準備など何もしていなくて。


近くのコンビニまで隆治と一緒に行った。


コンビニって便利だよね。


化粧水なんかはもちろんのこと、下着や靴下まであるのだから。


ひと通り必要なものを買って、少し肌寒い夜道を二人横並びに歩いた。


特に会話もなく歩いていると、隆治がそっとあたしの右手を取った。


ぎゅっとあたしの手を握る隆治。


考えてみたらあたし達、こんなふうに手を繋いで歩いたことなんて一度もなかった。


ひっそりと静まり返った夜の住宅街を、こうして隆治と歩けるだけで。


なんだか胸がいっぱいだった。
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